ゆうちょ定期預金の金利が10%って信じられますか?
先ほど食べたアジフライが美味しかったため、現在の若者がいかに割を食っているかについて、今回は預貯金の小ネタを書いておこうと思います。
本当は世代間格差について、「今の日本は5歳の子供の未来よりも80歳の老人の未来を心配してるアホ社会だろ」とか「老人は金持ちばっかりなんだから、金持ち老人から、死ぬまでに使い切れない資産を全部没収して老人間で再配布すれば、若者が払う年金なんてほぼゼロにできるだろ」とか言いたいのですが、長くなりそうなのでまたの機会にしておきましょう。
あと、このはてなダイアリーは、30日以上書かないとはてなダイアリー市民とやらになれないことを先ほど知りました。市民になると何が嬉しいのかさっぱり分かりませんが、頑張って市民になります。
お金を増やすのは、とてもとても簡単なことでした(昔は)
皆さんは、現在の普通預金の金利をご存じでしょうか。まぁ銀行の普通預金で0.2%、3年定期預金で0.5%くらいですね。たまに銀行のキャンペーンなどで1%を超える商品が出ると、大人気になるようです(もっとも、その数字は最初の3ヶ月だけ1%とかカラクリがあるのですが、多くの人は気が付いていません)。
では続けて、こちらのグラフをご覧ください。
(株) 農林中金総合研究所 組合金融 2001年春号 p.10より引用
これ、皆さん信じられますか? はじめてこのデータを見たとき、私は驚愕のあまり晩のご飯を丼3杯も食べてしまいました。おかげで寝苦しかったです。
現在の高齢者世代が働き盛りで給料も多かった1970年〜1980年代、郵便貯金の単なる10年定期預金の金利が、実に8〜12%もあったのです。銀行の1年定期預金や日本国債も、金利5%超えなんて当たり前でした。
つまり今の高齢者世代は、もらった給料を何も考えずに定期預金にするだけで、それこそ「いつの間にか2倍になっていた」というレベルで増えていく社会に長い間生きていたのです。ゴミみたいな利子しか付かない時代を長く生きてきた若い世代の人には、まず、こういう時代があった(どころか、長く続いていた)ということを知って欲しいのです。
このことに私と同じく驚愕した友人の言葉が、印象的だったので紹介しておきましょう。
「定期預金で金利10%ももらえるなら、普通に人生変わるだろ」
若い頃の苦労話を真に受けてはいけません
よく、安月給でこき使われる若者に、老人は「オレが若い頃も大変だった、でも一生懸命不平を言わずに働いた」みたいな苦労話をします。中小企業の社長さんとかに多いですね。
騙されてはいけません。彼らが若い頃は、預金しておけば何も考えずに倍増していきましたし、社会に老人がとても少なかったので給料から引かれる年金もすごく安かったし、日本全体が成長していましたら給料もどんどん右肩上がりでした。
今の若者も、それほどの恵まれた環境が与えられたら、そりゃ働くでしょう。でも今の若者は、自分たちが割を食っていて、昔の人達ほど運が良くないことにうすうす気が付いています。美味しいエサはありませんし労働も過酷です。昔の運が良かった時代のお金持ちの人達を支えるために、少ない給料からたっぷり税金と年金が引かれます。手配師とか口入れ屋なんて言葉が消え、派遣会社とやらに変わってピンハネしてきます。
しかしそんな状況でも、本当に今の若者はよく働きます。怠け者の私から見れば働き過ぎです。「こんなクソみたいな環境で働けるか、アホ!」という牙を持つべきです。そうしないと、いつまで経っても会社経営者はお金が儲かって仕方がなく、若者の労働者は貧乏で仕方がありません。
いつも通りの結論
どうせ安い給料です。しかもそこから色々と引かれまくって、手取りはわずかです。真面目に働くのはやめましょう。
あなたは大阪に住んだことがありますか?
前回の日記にて思わず「アホ」という単語を発してしまい、私が大阪人であることがあっさりバレてしまいました。お恥ずかしい限りです。
残念ながら私の周りはいけすかん東京もんばかりのため、なかなか大阪の常識を理解してもらえません。そこで、せめてはてな村の人達には、大阪での常識という物を教えておいてあげようと思いました。
以下に書くことは、多少の誇張はあるかもしれませんが、概ね事実です。
たぬきうどんはありません
大阪には、「きつねそば」と「たぬきうどん」という料理名称は存在しません。常識中の常識ですので、まずここを押さえて下さい。
大阪では、「きつね」と頼むと東京で言うきつねうどんが、「たぬき」と頼むと東京で言うきつねそばが出てきます。つまり、「きつね」と「たぬき」は、具ではなくうどんなのかそばなのかを指します。
では、東京でいう「たぬきそば」はどうしたらいいか? これは、「かけそば」を頼みましょう。大阪では天かす(揚げ玉は東京の言い方です。天ぷらのカスですから、天かすです)はセルフで盛り放題のため、自分でかけます。
ここで知ったかぶりが、東京でいう「たぬきうどん」を食べたいために「かけうどん!!」と言います。これは残念ながら間違いです。具の入っていないうどんは、「すうどん」です。
なお「けつねにめし」→「しのだにしま」という上級古代言語もありますが、あなた達はこんなことは覚えなくていいです。
高い服を自慢するという概念がありません
東京もんは頭が悪いため、「この服、5万円もした」とか言って自慢してきます。自分がいかに散財しているかを言われましても、大阪人の私には理解できません。
あなたが大阪に来れば、必ず一度はこういうセリフを聞くはずです。
「このシャツ、500円で買(こ)ーてん」
大阪人は、自分が来ている服がいかに安いか、いかにお金を掛けずに調達したかを自慢します。
値段が高い服を買ったことはなんの自慢にもならんということを理解してください。私は、どうして東京の人達は高い物を買ったことを自慢するのか、いまだに理解できません。
怒ってませんよ。
アルバイトをすると、店長がしょっちゅう「このどアホ!!」「アホちゃうか!!」と怒鳴っています。
これは大阪での挨拶です。全然怒ってませんから、いちいち気にしないでください。
喫茶店
あなたが喫茶店でバイトをしていると、おっさんの10人に1人くらいが「れーこー」というものを注文をしてきます。これは「冷コーヒー」、つまりアイスコーヒーのことです。
また、大阪の喫茶店には100%「ミックスジュース」がメニューにあります。オレンジジュースよりも、ミックスジュースの方が出る率が高いです。原因は、謎です。
お腹が空いたら
「腹減った〜♪ 飯(めし)食わせ〜♪」と歌いながら、茶碗を箸で叩くのが大阪での礼儀です。
お好み焼きは、自分で焼きません
東京で、大阪風を気取っているお好み焼き屋に入ると、具材が生で出てきます。自分で焼けということですが、私はこれは違和感ありまくりです。
大阪では、お好み焼きは店の人が焼いてくれます。自分で焼くことはあまりありません。「大阪人はお好み焼きが大好きだから、セルフの店ばかりで自分で焼いてる」という理解は大きな誤りです。
なお、もちろんお好み焼きはあくまで「おかず」です。大阪のお好み焼き屋は、定食としてご飯とみそ汁が付いてきます。炭水化物をおかずに炭水化物を食べる、大阪の常識です。
たこやき
親指と人差し指で輪を作り、それを自分のほっぺたに当てて「たこやき」と言ってみてください。大阪人との心の壁は、これで崩すことが出来ます。
日本橋
東京にも日本橋がありますが、大阪にも日本橋があります。ただ、東京のは「にほんばし」と発音しますが、大阪のは「にっぽんばし」です。
大阪の日本橋は「でんでんタウン」という電気街であり、東京でいう秋葉原です。ただし、規模はそれほど大きくありませんし、今や電化製品は梅田のヨドバシで買う人も多くなってしまいました。
なお地下鉄で電気街に行く場合、日本橋駅で降りるとむしろ遠いので、恵美須町駅で降ります。今は亡きOAシステムプラザのビルがあった交差点の角で、毎日フランクフルトを焼いていたあのおっちゃんは、今は何をされているのでしょうか。
ベッドのまわりに何もかも脱ぎ散らかして
大阪では、金曜の夜に女の子を誘ってもなかなか落ちません。なぜなら彼女は、家に帰って探偵ナイトスクープというTV番組が見たいからです。
この番組は大阪で非常に人気の高いバラエティ番組であり、また時々「ナイトスクープ見てますか?」と番組内で住宅街を強襲するため、大阪人は気が抜けません。
大阪駅
大阪駅と梅田駅と西梅田駅と東梅田駅はすべて繋がっています。でも複雑怪奇な通路のため、正確に行き来するには熟練が必要です。
阪急梅田駅からJR大阪駅への連絡通路階段に、昔は大きな将棋盤広告があって、詰め将棋がリアルに掲載されていました。「将棋盤のトコの階段」と言って理解してもらえるかどうかで、大阪にいつ頃から住んでいたかの手がかりになります。
ひったくりは多いです
大阪は犯罪の街という印象があります。残念ながらこれは一部事実で、ひったくり件数は日本ワースト1です。道を歩くとき、カバンは道路側ではなく歩道側にして歩けと口を酸っぱくして言われます。
ただ、振り込め詐欺犯は全都道府県でもトップクラスの低さです。大阪のおばちゃんはオレオレ詐欺に引っかかりませんし、「うちの息子は、オレオレなんて名前やあらへん」と電話を切ります。
警視庁が振り込め詐欺防止のために色々とやっていますが、「全国民に、大阪で1年暮らすことを義務づける」とすれば、日本中から詐欺に引っかかる人はいなくなります。
京都は嫌いです
同じ関西でも、京都の奴らを大阪人は嫌っています。お高く止まってるし、イヤミったらしいし、料理に味が付いていない(薄いのではなく付いていない)からです。
はてなは京都から東京に移転し、再び京都に戻ってきました。大阪人から好かれる要素ゼロです。
どうして日本人はいつも忙しいのか
イタリア人の怠け者っぷりは有名ですが、「今日できることは明日もやらない」がモットーな私だって負けないくらい怠け者です。
そんな私は、会社での周りの皆さんの働きっぷりにビックリしっぱなしです。どうしてみんなあんなに働くんだろうとずっと(怠惰に)考えていましたが、それは根本的な思考が違うからだとわかり始めました。
そして30歳を目前に控えてようやく色々と説明できるようになったので、その辺のことを述べようと思います。これで皆さんも怠惰にしてみせます。
生きるために働くんです
もう65536回くらい聞いたことがあると思いますが、多くの日本人は働くために生きています。日本以外の国の人は、生きるために働いています。
再確認の意味で、ここでくどくどと長く述べることはしないので、格言の紹介のみにとどめます。
「死の床で、もっと働いておけば良かったと後悔する人間はいない」
バカンスと長期休暇について
ヨーロッパ諸国の労働者にとって、夏に長期休暇を取ってバカンスというのは常識であり、社会の共通認識です。このバカンスを日本でも取れるようにするためには、そもそも今の日本人の労働観とは違う次元の理解が必要です。
長くなりそうなのできちんと説明できるか不安ですが、以下でなんとか説明しようと努力します。ので、ついて来て下さい。
まずはよくある例の紹介から
例えばイタリアで、夏に銀行に行って海外からの送金を受け取ろうとすると、「今は担当者がいねぇから処理できねぇ。彼のバカンスが終わるまで待て」と言われます。
で、3週間くらい待ってようやく処理が終わると、彼は「良かったな」とニコニコしながら握手をしてくれます。あなたはそこで、東洋的アルカイックスマイルを浮かべながらきちんと"Grazie"と言いましょう。
他にも、「今、担当者がいねぇからダメだ。明日来い」というセリフは、本当によく言われます。あなたはおそらく「代わりに隣の人がやってくれればいいのに……」と思うことでしょう。
ろくな給料をもらっていないのだから、あなたが努力する必要はありません
海外送金担当の伝票は、隣の別の窓口の人は絶対に処理しません。なぜなら、彼はいつも通りの給料しかもらっていないのだから、そこで隣の人のぶんまで働くことは、労働価値の低下を意味するからです。もっと分かりやすく言えば、「同じ給料しかもらっていないのに、仕事が増えるのはおかしい。だからオレはいつも通りの仕事しかしないよ」ということです。
もし日本ならば、誰かが休みを取ると、他の誰かが頑張って働いてその穴埋めをしようとします。これは、筋金入りの奴隷根性と言って良いでしょうし、労働価値の低下を促して労働者全体の給与を下げるという最悪の結果を生み出します。(例えば、Aという仕事をして1万円もらっている人がいるとします。その人が休んでいた人のBというちょっとした仕事もすることにしました。しばらく経つと、「A+Bで1万円が給与として標準」となり、Aという仕事しかしない人は9000円に給料が減らされます)。
「でも、お客さんは困ってるし、業務が回らなくなって困るし……」とおそらくあなたは思うでしょう。ここであなたの目から鱗を落として差し上げると、そんなことは、ろくな給料ももらっていない労働者が考える必要はないのです。
たかが一人が休んだだけで業務が回らないなら、それはそんな少人数しか割り当てていない経営者が悪いのです。だから、仕事が回らなかろうが、んなことは知ったこっちゃありません。それで会社に損害が出ても、顧客からのクレームの嵐となっても、やはりそれはきちんと人員を配しない経営者の責任です。
残業もそうですよ
これは、最近日本で流行りの違法残業(なぜ、サービス残業なんて馬鹿な言葉を使うんでしょうね? 無給で強制労働させるのだから、違法残業以外に呼び名は必要ありません)にも当てはまります。「仕事が終わらないから」違法残業すると言いますが、仕事が終わらないなら帰ればいいんです。給料出ないんだし。
怠け者ばかりのイタリア人に、違法残業と言っても理解してもらえません。「給料出ない? なら帰るよ? なんで働いてんの?」で終了です。
繰り返しますが、仕事が終わらないなら、終わらせずに帰ります。それで会社が困っても、お客さんが困っても、それは仕事量に対して適切な人員を配しない経営側の責任です。「頼む、残業代を払うから仕事を終わらせてくれ」ならば筋が通ります。「残業代は払わないよ。でも与えられた仕事はきちんと終わらせないとダメだよ」は、経営側のただのワガママです。付き合う義理はありません。
しかし、今の日本で、現実にこうした態度をすぐ取ることはなかなかできないでしょう。でもまぁ、この概念を理解しつつ「仕方が無く」現実に甘んじているならばまだよろしい。残念ながら日本がいつまで経っても劣悪な労働環境である原因は、こんな簡単な概念すら理解せずに、奴隷根性を誇りにして嬉々としながら違法残業する人が圧倒的多数なことなのです。
彼ら奴隷根性を誇りに持つ人間は、残業をしないで定時で帰る人間を怠け者とののしり、給料ぶんの仕事しかしようとしない人間を無責任と非難します。こうして今日も、奴隷労働者のおかげで日本の経営者はお金が儲かって仕方がありません。
どうして必死こいて働いている日本には余裕がなくて、適当に働いているヨーロッパの国には余裕があるのか
ところで、先のようにイタリアでは銀行業務が平気で止まるし、路線バスは日常的に道を間違えるし、鉄道は時間通りに来ると誰も思っていませんし、役所では手続き通りに書類が出てくる方がむしろ驚きです(私はイタリアが大好きであり、決して貶めるためにこういうことを書いているわけではありません。念のため)。
日本ならばマスゴミの方々が大騒ぎするところですが、イタリアでは誰も騒いでいません。それは、簡単に言えば、社会全体が過剰な品質を求めないからです。海外に行ってしばらく生活をしたことがある人は分かるでしょうが、日本の、特にサービス業の質は異常なほど高いです。
イタリアばかり出すとアレなので、アメリカに行った時の例を出しましょう。レジのおばちゃんは「いらっしゃいませ」の「い」の字も言いません。ガム噛みながら接客なんて当たり前で、アイスクリームを食べながらレジを打ってたりします。レジ前は長蛇の行列ですが、急ぎもせずに適当にレジを打ってます。
また、ドイツ人と言えば几帳面という印象があるでしょうが、そのドイツですら鉄道は平気で5分や10分遅れてやってきます。もちろん、それで誰も文句は言いませんし、それが当たり前です。これ以上のダイヤ通りの運行を要求すれば労働条件の悪化につながることがよく分かっているし、高コストにすることは鉄道事故という観点から安全的にもよろしくない。そしてムダなことは環境問題に貢献しないことも理解しているからです。
日本では鉄道を1分も遅れさせないために、とてつもない人数がとてつもない労働時間を費やし、とてつもないコストを費やしています。100円ショップの店員に、帝国ホテルのコンシェルジュ並のきめ細かいサービスを求める人のために、とてつもないサービスコストを費やしています。その結果として、社会全体がとてつもなく忙しいのです。
自分が楽になりたいなら、他人が楽になる権利も認めてあげましょう
バカンスで人がいないというのは、ヨーロッパ諸国では当たり前のことです。「自分だってバカンスを取るんだから、他人にもバカンスの権利を認めるべき」というのが共通認識です。だからこそサービス品質に鷹揚だという点もあるでしょう。
一方の日本では、例えば公務員が夏休みとか言っただけでみんな大騒ぎです。税金泥棒とかもっと働けとか休み取るなとか言い出します。その結果として、社会全体が休みを取らずに働き続けます。アホです。
この、異常なサービス品質を求めることと、それに付随して他人の労働者としての基本的な権利すら認めないこと。これが日本人の長時間労働を産みだしているもう一つの原因です。
電車の車掌、役所の窓口、レストランの店員、電話サポートのオペレーター。彼らはみんな、ロボットじゃありません。同じ労働者であり、同じ人間です。今の日本では、こんな基本的なことすら分からない人が多すぎます。
まとめ
- どうせ低い給料です。頑張って働くのはやめましょう。
- 同じ給料で隣の人のぶんまで仕事をすると、労働価値を減少させて、みんなの給料を下げて迷惑をかけることになります。
- お前らは一度、イタリアのような、怠け者ばかりの国に行くべきです。
- 鉄道が1分も遅れずに来るのが当たり前だと思っているあなたは、はっきり言ってビョーキです。
公務員叩きは何故ムダなのか
ネットの方々とマスコミの方々の意見は対立することが多いのですが、何故か公務員叩きという最近のブームに関しては一致しているようです。
私は、これが不思議でたまりません。そもそも早く会社をやめて怠惰な生活を送りたがっている私にとって、公務員叩きというものはとてつもない悪習であり、日本の労働者にいかに奴隷根性が染みついているかの証拠でもあります。
今回は、この辺について詳しく書こうと思います。願わくば、労働者諸君の奴隷根性洗脳がとけますように。
奴隷さん達の主張
公務員叩きの基本的な論調は、「民間ではサビ残の嵐だし、仕事もキツいし、リストラの不安もあるし大変だ。公務員は定時だし、のんびり働いているし、リストラの不安も無い。だから公務員の労働条件をもっと悪くしろ」というものです。
ではそんな劣悪な労働条件で働いているあなたが、さらに貴重なエネルギーを割いて「公務員は給料が高すぎる」「民間はもっと大変なんだ、お前らももっと低劣な労働環境で働け」と叩くことにより得られるものは何でしょうか? あなたの必死の努力で公務員の待遇を悪くすることに成功したとして、ではあなたのその悪い労働条件は良くなるんでしょうか?
あなたに比べて公務員が高給ならば、あなたは自分の会社の経営者に向かってこう主張するべきです。
「公務員があれほど高給なのに、我々はこれほど低賃金で働いている。公務員並の賃上げを要求する」
主張できないまでも、こういう考えを自然に持てないあなたは、残念ながら奴隷根性が染みついていると断言されても仕方がないでしょう。
叩くと誰が喜ぶのかをよく考えましょう
あなたが必死こいて公務員を叩くことにより、喜ぶのは主に会社経営者です。おそらくあなたの会社の経営者は、毎日笑いが止まらないでしょう。
「あれだけ低劣な労働環境で働かせているのに、経営者のオレに怒りを向けることはせずに、公務員を叩いていやがる。それで労働者の価値はさらに下がるだけなのに、本当にバカだなwwww」と。
そんな経営者ならば、公務員の労働条件が悪くなれば言い出すことは一つです。
「昨今の景気の悪化で、皆さんも知っての通り公務員の給料も削減されている。弊社も、賃金制度を見直さねばならない」
おめでとうございます。あなたが頑張って公務員を叩いたおかげで、あなたの給料はもっと下がりました。
集団を統治する基本
経営側は、労働者という集団の憎悪を、決して自分には向けさせません。その素晴らしい手腕には目を見張るものがあります。
集団統治の基本中の基本ですが、ある集団の憎悪を自分に向けたくない場合、その集団に対してお互いに敵意を植え付け、お互いを仮想的として認識させます。こうすると、憎悪は集団同士で向くようになり、決して上位層に怒りが来ないようになるのです。
たとえば、捕虜に労働をさせる強制収容所の例を紹介しましょう。
劣悪な環境で捕虜を労働させます。この時、全ての捕虜を同一条件でムチ打ちながら働かせると、捕虜たちは団結して抵抗してしまい、扱いにくくなります。
そこで、捕虜を2グループに分けます。片方には楽な仕事(A)を、片方にはキツい仕事(B)を与えます。そしてBグループの捕虜には、いかにAグループは楽な仕事か、いかにAグループは厚遇されているかを見せつけるようにします。するとBグループは、収容所ではなく、Aグループの人間にしだいに憎悪を持つようになります。
このような状態に長く置かれると、驚くべき事にBグループの人間は収容所の人間を叩くことは思いもしないようになり、Aグループの人間と争い続けるのです。本当の敵が見えていないのです。
オープンな労働市場
「労働力の安売りを決して許してはいけない」というのは、労働問題を考える上で基本の概念です。
一度、どこかで労働力の安売りがされてしまうと、待っているのは労働市場全体の雪崩のような労働価値減少です。一人が低賃金で働くことに同意することで、労働者全ての給料が下がってしまうのです。
賃金が下がるということは、ある労働に対する価値が下がることを意味します。公務員の賃金を下げれば、それはその労働に対する価値を下げていることになります。自然と、その下がった価値は伝播し、いつかあなたの仕事の価値も下げることになります。その結果はもちろん、給与の削減です。
自分で自分の首を絞めているというのはこういうことです。
まとめ
- 自分より待遇のいい労働者を叩いても、ムダな努力です。そんなヒマがあったら、寝てる方がマシです。
- あなたの労働条件が悪いのは、あなたの会社の経営者が悪いんです。公務員が悪いんじゃありません。
- 労働市場がオープンとなっている現在、他人の労働条件を悪化させると、自分の労働条件も悪化します。自分の首を絞めるだけです。「あっちがあれだけいいんだから、こっちもあれだけ上げろ」と要求することが世界の常識です。
- 日本人は、自ら奴隷になりたがる人が多すぎるため、奴隷になりたくない人の労働条件も悪くなっています。迷惑です。
はてな村
引っ越しました。